口とは何を食べたか脳に教える機関である

私達は口を使って食べ物や飲み物を体に取り入れます。
当たり前ですよね。
よく噛んで食べるという行為は、消化吸収を高めて胃や腸の負担を軽くする為と考えられてきましたが、実はもっと大切なことがあるんです。
それは、「何を食べたか」事細かく分析し、脳に伝えるという大きな役割を持っています。

例えば、冷蔵庫の隅で一ヶ月以上も眠っていた豆腐を取り出したとします。 まず目で確認します。
そして見た目は「大丈夫、食べられるかもしれない」と判断します。 その次に鼻で臭いを嗅いでみて、「うーん、臭いも大丈夫かもしれない」と判断します。
今度はそれを口に運び、恐る恐る舌で舐めてみます。 「うー、スッパイ!」「ぺーっ!」と吐き出し、「これは駄目だ」と一瞬のうちに判断します。
“舌”というスキャナーで豆腐を分析し、その結果が脳に伝えられ、脳はそれを「吐き出せ」と口に命令してきた訳です。
それも僅か1秒以内のことです。
私達はこういう機能に守られて生きているんです。
臭いで判断する鼻、これも脳に安全を確保する為の情報を送る、とても大切な機関なのです。

ここで、口と脳の関係を情報と栄養という形で整理してみます。
先程から言っているように、物を口の中に入れると脳の神経は口に集中します。
特に一口目はね。
そして、中に含まれている物質、例えばミネラルやビタミン、たんぱく質や糖分、そして炭水化物、アミノ酸、あらゆる方向から分析し、唾液を混ぜて生態異物反応を緩和し、消化酵素と共に体の中へ運ばせます。
この時、もう一つとても大切なことに気付かされます。
それは、その素材の持っている情報です。

「物質分析」と「情報の解読」なのです。

何故なら口で集められた情報を脳に伝え、脳は適切な判断をしなければいけません。
その時重要なのが、脳の中に元々記憶されている情報と適合させること。
そして脳はその物の安全性はもちろん、利用方法まで各臓器や細胞に指示することなんです。
口の中で集められた情報が、脳の中に記憶されている情報と食い違いがあった時、脳はどう判断するでしょうか。
こういう状況では、脳は必ず迷う筈なんです。

脳の中に記憶された情報とは、この地球上で共に進化し、生き続けてきた遺伝子やミトコンドリアの中に蓄えられたもの、地球での出来事全てが記憶されていると考えられます。
進化の過程で大きく分かれていったにせよ、基本的なものは同じなんです。

私達人間がこの地球上で生き続けてこれたのも、食べ物があったから、そして人間も植物も動物も全ての生命体が共存し、子孫繁栄を営んできたからです。
このことは私達の脳に記憶されている情報の中で、もっとも大切な部分なんです。

遺伝子の歳って幾つだと思いますか?
両親からもらった遺伝子、その両親もまた更に両親から遺伝子をもらい、ずーっと遺伝子は生き続けてきました。
そしてそれまでの過去の全ての情報を伝えることが、遺伝子の役割なんです。
だから生命誕生からの全ての情報が、脳という機関のメインシステムに収まっているのです。

 

現在の私達は、脳や遺伝子やミトコンドリアや腸内細菌達の知らない食べ物を作り過ぎてしまいました。
これを総称して「化学食品」「化学野菜」と呼びます。
自然を無視し、相手の立場を考えずに作ってしまった食べ物。 自然の中で進化してきた私達の脳は、それをどう判断するでしょうか。

例えば種のない果物。
人間の作った化学物質で生殖遺伝子を奇形にして種を作らせなくしてしまった。
子孫繁栄の為に実を付けたというのに、出来上がった果実には種がない。
これを人間に置き換えたら大変なことです。

人間は果物達に平気でそのような行為をしているんです。
もちろんその果物には子孫繁栄というプログラムが存在していないので、私達がそれを口にした時、脳は食べていいのかいけないのか、安全な物なのかどうか、判断できなくなってしまうんです。

その他にも遺伝子組み換えという奇形植物、他にもバイオ交配、一代交配などがあります。
化学で抽出した栄養素など、この地球上に無い食べ物が溢れています。
これを食べた時、脳はどう判断するんでしょうか。
脳は、既にストレスだらけになってしまいます。

環境における人間の意識が「種がなくていいぞ」と食べる。
しかし遺伝子や脳が過去の記憶と照合すると情報が適合できず、これは地球上の物ではないぞ、と判断する。
この行き違いこそが脳のストレスとなるんです。 そしてこれを“意識外ストレス”と名付けました。

今人間の脳はこの意識外ストレスでいっぱいです。
これがうつ病や自閉症に関係なければいいのですが、疑問は残ります。
化学食品、奇形野菜類、遺伝子組み換えや強制交配種、種無し果物類、季節外食品。
こんな物を食べていて、いい筈がありません。

早く気付くことが大切です。
自然と共に生きることができれば、脳は安心します。

では、遺伝子もミトコンドリアも腸内細菌も安心できる食べ物って何だろう?
子供の頃、母親に「道草喰わないで早く帰ってきなさい」なんて言われました。

そう、この「道草」がいいんです。
自然のまま、天然素材で、人間がまったく手を加えていない物。
そんな物を食べると脳が喜ぶんです。
量が多ければいいということではないんです。

その物質が持っている情報が、脳に記憶されている情報と適合することが一番大事なことなんです。
脳を安心させる為には、ヨモギやフキノトウの匂いを嗅ぐこと。
タンポポやツクシを食べたり、アカザやつゆ草、季節の草花に接することです。
それだけで脳もミトコンドリアも腸内細菌も喜ぶんです。

簡単なことかもしれませんね。
ぜひ試してみてはいかがでしょうか。

このように、大自然の恵みからもたらされた食材が持つ情報の中で、脳が安心できる情報を「情報栄養素」と呼びます。
脳が一番必要としているもの、それは安心できるということ。
脳の負担を軽くしてあげなければなりません。
脳が安心できる情報栄養を日常生活の中で時々取り入れるだけでも、体のすべての健康へと繋がる第一歩なんです。
脳が不安状態では、体の健康もなかなか維持できないということなんです。

 

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